毎日新聞 2009年8月24日 より
就職できない若手研究者「もったいない」
「博士がタダで教えます」−−。博士号を取得したものの常勤職が見つからないポストドクター(ポスドク)を、京都大が全国の小中高校に出前講座の講師として無料派遣する。大学のPRとポスドクのキャリアアップという一石二鳥を狙う。
京大に在籍するポスドクは約1100人(06年度)。大学や研究所など常勤の研究職に就けないポスドクは全国で1万6000人以上おり、就職難が問題化している。
京大が優秀な頭脳の「宝の持ち腐れ」を少しでも解消しようと計画。子供たちに分かりやすい言葉で講義することが必要なことから、若手研究者のプレゼンテーション能力が鍛えられる上、優秀な後輩を引き寄せる効果も期待している。
出前受け付けは31日まで(一部講座は既に終了)。派遣期間は9月初旬〜11月6日。京大キャンパスで開く講座もあり、京大教育推進部は「修学旅行の日程に組み込むこともできる」としている。研究者の旅費を含め、小中高校側の負担は一切ない。詳しくは京大サイト(http://www.kyoto−u.ac.jp/)の専用ページへ。問い合わせは教育推進部(075・753・2493)。【広瀬登】
うーむ。どうして大学関係者はこういう自殺行為を平気で行ってしまうのだろうか?
ポスドクのキャリアアップ??正気なのだろうか?
小中高生向けの出前講座を業績として認める企業や研究機関があるとは寡聞にして知らない。
京都大学はそんなものを業績として認めているのだろうか?
そもそも、ポスドクを無料派遣することで、「京都大学出身のポスドクの市場価値はゼロ」だと事実上宣言していることになぜ気付かないのだろうか?
そんなことをしても、企業や研究機関が彼らポスドクを雇用することには決してならない。
明らかに逆効果だ。
大学のPRという意味でも、完全に失敗している。
「自分で食い扶持さえ確保できないダメ人間を京都大学は大量生産しています。京都大学に来ても良いことはないですよ」というメッセージをばら撒いているだけで、京都大学のイメージアップには全くなっていない。
結局のところ、大学当局自身もポスドクに対して価値を見出していないし、邪魔なだけなんだろう。
実際、小中高生向けの出前講座をすることで「若手研究者のプレゼンテーション能力が鍛えられる」と言われて、馬鹿にされていると思わないポスドクが一体何人いるのだろうか?
しかも、これは「京都大学ではプレゼンテーション能力すら鍛えることができない」と言っているに等しいと思うのだが。
病状がここまで悪化するともはや救い難い。
参考記事:博士の対価は無料らしい