大学生は勉強しなくていいのか

By 池尾和人 @ アゴ

環境変化に伴って、従来型の日本的人材養成システムは、もはや時代遅れなものになっている可能性が高い。すなわち、企業は地頭(じあたま)主義で、大学には選抜機能しか期待しない。それゆえ、大学の役割は入試だけで基本的に終わり、在学中、学生はほとんど勉強しない。そして企業に入ってから社内で鍛える、ということでは、今後要求されるような人的資本としての生産性の高さは達成されないと懸念せざるを得ない。

実際、従来型の日本的人材養成システムから生み出される人材は、企業特殊的な「ジェネラリスト」で、汎用的な専門能力は決して高くない場合が大半である。それゆえ、所属する企業が成長しない限り、十分に報われることはない。

たぶん、5〜15年後くらいには、20〜40歳代の日本人は、同じ年代の中国人や韓国人、他の東アジアの人々と全く同じ土俵の上で競争しなければならなくなると思った方がよい。そのとき、相手は当然のように修士号程度の学位はもち、流暢に英語も話すだろう。そのときになって、「大学生のときにもっと勉強しておけばよかった」と後悔しても取り返しはつかない。われわれの世代も、同じような後悔をよくするけれども、いまの学生以下の世代においては、身をもって悔いることになりかねない。

おはなしにならない

いまも大躍進を続けているネット企業のG社から、世界中のビジネスパートナーを一堂に集めた大カンファレンスに招待を受けました。

それまでも何度も西海岸やNYのネットメディアやサービスの企業にはご訪問していたのですが、さすがに全世界から同時に同じ場所に300人!もの同業者やメディアパートナーが集まるという機会は、そのときがはじめてでした。

招待者限定のカンファレンス。
日中は2日間に渡り、ずっーと主に米国の著名なIT企業経営者や学者・政治家による講演やパネルディスカッションがあるのですが、、、加藤が驚愕したのは、その内容ではなく、それらの同時通訳をヘッドフォンをして聴いているのが日本から来ている15人のうち10人強だけだったことでした。

いや、よくみると主催者が同時通訳者を用意しているのは英語→日本語だけでした。
日本人以外の招待者は全員ひとり残らず英語でのスピーチをそのまま聴いていたのです。

英語しか話さないアメリカンが同時通訳を必要としないのは分かります。
ですが、その場には20カ国超の国々からの招待者がいました。ヨーロッパや南米、もちろんアジアからも中国、台湾、韓国、香港、インド、シンガポールインドネシア、タイetcと幅広く招待されていました。その全員がネイティブの英語が聞き取れているのです。あの早口の。

更にショックだったのは2日間に渡って開催された夜のパーティです。
G社の幹部層と招待者が交わって歓談するパーティは同じ業界に身を置く異なる国のキーマンでたいへんな賑わいとなりました。みな国境や商圏を越え闊達なディスカッションとなっています。きっと商談や提携のネタ繰りで盛り上がっているのでしょう。

一方、私はもちろん日本から来ている日本のネットメディアおよび広告業界のメンバーはほとんどと言っていいほど他国の方々とのコミュニケーションになりません。

もちろん日本からの招待者のなかに英語が分かって話せる人はいたと思います。
しかしまるで不定形生物体のように、日本からの12、3人は群れ、パーティ会場のはしっこで緩く固まってしまいました。

各国からの招待者やG社の幹部たちは、私たちに慮り、近寄ってきてはくれます。
そして名刺交換、軽い会釈・握手はするのですけど、そのあとのコミュニケーションは続きません。私自身も薄ら笑いで愛想作るに留まります。日本に帰ってきてからもメールやSKYPEのコミュニケーションには繋がりません。

上場を廃止して海外に脱出するサンスター
日本企業のアジア本社移転はあるのか
世界競争力報告 と ビジネスの環境

昨年秋、弊社PanAsia Partners PTE,LTDが、シンガポールに来て3ヶ月経った頃、(日本でいう経済産業省にあたる)EDB(Economic Development Board)の官僚さんからメールと電話でアポイントの要請がありました。会社に来たい!というのです

『えーー。まだ移住したばっかだし運悪いな。なんか悪いでもことしたかな・・・』
と思いつつ恐る恐るアポイントをとり、当日オフィスで小さくなってお待ちしていたところ、、、アポ時間になって登場したのは、見た感じ、まだ25,6才のうら若きお嬢さん。
お越しになり、いきなり彼女が言い出したことは

『EDBの××です。私は貴方の産業の担当です。なにか日本から来て起業されて、不自由に感じていたり、困っていることはありませんか?』『加藤さんが紹介してほしい企業や、プロフェッショナルがいるならサポートします』

どっしぇー!!。
僕は上京して東京で広告会社を作って以来16年の間に、何度か税務署や労働基準監督局の人に虐められたり、お役人から呼び出され意味不明の質問攻めやイヤミを言われたことはありましたが、手助けしたい、といわれたことは一度もありませんでした。

シンガポールの官僚は、みんな若くして権限も予算もある、ということが後にわかりました。
30前後で管理職なのです。優秀な方は40くらいになると在星の欧米企業のアジア地域本社などからヘッドハントされ早期退官→CEOをやっている!というのが、キャリアパスなのだそうです。

日本の中央官僚が民間企業に『何か困っていることはないですか』と訪問するなんて、少なくとも今世紀中はないでしょう。

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最近、いくつかの企業が海外移転を検討しているとの情報を耳にすることが多くなった。初めは少し大袈裟すぎると感じていたが、調べてみると、真剣であり本気である。実際に関係者を取材してみると、はったりではなく、真面目な話である。

鳩山首相は、国連総会において地球温暖化に関し「CO21990年基準25%削減」を世界に向かって公約した。マスコミはこぞって「1990年基準25%削減」支持している。もしも「それは非現実的」という者が現れたら、マスコミによってただちに魔女狩りにされてしまうほどの勢いになっている。日本の産業はこの流れについていけないと考え始めている。

削減の目標値を下回れば罰金を払わなければならない。いまも払っている。これほど馬鹿馬鹿しいことはない。

民主党政権のこの政策のもとでは、石炭火力を使う産業(鉄鋼と電力)は大変きびしい状況におかれる。このうち電力の場合は、原子力発電を大幅に増やすことによってCO2削減を実現する方向に動く。しかし、鉄鋼業にはかわりになる手段がない。鉄鋼業のなかには工場の海外移転を真剣に検討し始めた大企業があるという。

中小企業でも、鳩山大不況促進政策に絶望して海外移転を検討する企業が増えている。

しかし、海外移転ができない産業がある。建設業である。とくに中小・小規模の建設企業は移転できない。皆、追い詰められている。鳩山首相よ、これでいいのか?! 健全な産業・企業なくして健全な資本主義は成り立たない。鳩山内閣は日本をどのような方向にもってゆこうとしているのか。まさか社会主義ではないと思うが。

「本社」のないレノボ

パソコンメーカーのレノボの社長と昨年の今ごろ話したときに、「レノボの本社ってどこなの」と聞いたら、「レノボに本社はないんだ。つまり、我々はグローバルマネジメントだ。バックオフィス・ファンクションは中国にあるし、マーケティング機能はシンガポールにあるし、戦略機能はシリコンバレーにある。このように分けて、3カ月に1回だけマネジメントが集まってミーティングをするんだ。あとは全部テレビ会議でやる」という話をしておりました。