世間の無関心に無関心

●世間は「大学問題」に関心を持っていない

大学塾!! Blog 松田尚之さんのコメントより

私も含め、世間の人は教育や学校について語ることが好きです。たとえば酒の席などで、「日本の教育は間違っている!」「いまの学校はここがおかしい!」と盛り上がった経験を持つ人は多いはず。良くも悪くも、教育や学校はそれだけ人びとの関心を集めやすいテーマなのです。

ところが、大学というれっきとした教育機関がそうした床屋政談の俎上に載せられることは珍しい。たしかにかつての時代、大学は一部の人間だけが進学するところでした。その分、人びとに縁遠い場所だったとしても無理はありません。しかし現在、進学率は50パーセントを超え、日本の大学は世界でも他に類を見ないほど大衆化が進んだとされています。にもかかわらず、ほとんどの日本国民が大学に関心を持っていないのです。

大学関係者の中には、「いや、大学に対する社会の風当たりは年々強まっているよ」という意見の方もいるかもしれません。しかし、たとえば小学校や中学校に対する(ときにはあまりに過激で不当と思われる)バッシングに比べれば、世間の大学への態度は“無視”に近いといっていいと思います。

私は、何も「大学はもっと叩かれるべきだ」と言いたいわけではありません。ただ、この世間からの無視のされっぷりが、大学の状況をあまりいいものにしていない大きな要因ではないかと感じるのです。

大学人が自己評価しているほどに、社会は大学の価値を認めていない。大学人自身がこのギャップに気づけるかが改革の成否を左右するのではないか。これが当初からあった私の直感です。当事者である大学関係者には案外ピンと来ない言い方かもしれませんが……。